日本とヨーロッパのメディカルアロマの違い

アロマが浸透しているヨーロッパでは、精油を治療として取り入れる医療機関がたくさんあります。病気そのものは、手術や薬で治療を行いますが、患者が感じる不調、例えば不眠、痛みや不快感、咳やむくみなどさまざまな症状を緩和するケアの手段として、精油を用いているのです。

実際、とある病院では、メディカルアロマのセラピストが患者をケアすれば、看護師の手が一時間空くと言われています。それだけ、癒やし作用を持った方法であることが窺えます。

フランスでは精油を医薬品としているので、薬局で販売されています。症状に合わせて薬剤師が薬を選んでくれるのと同じように、ふさわしい精油を選んでくれます。また、フランスには昔からハーブ専門の薬局があり、症状に合わせてハーブを選んでくれます。同時にこのハーブ薬局でも精油を扱っています。

一般的なアロマテラピーは、香りでリラックスする、香りが効くという考え方ですが、メディカルアロマでは、精油を皮膚から吸収させ、内側から症状を改善、軽減させるという考え方をします。現にフランスの薬局では精油を販売していますが、日本のように香りのテスターはありません。香りではなく、効能で選ぶからです。

日本では精油が医薬品ではなく、雑貨として扱われます。そのため、日本の病院、クリニックで薬として精油が処方されることはありません。ですが、医療の補完として、また代替医療として用いる医療機関は増えています。実際、内科・産婦人科をはじめ、認知症の予防ケアやがんの緩和ケア・終末期ケアなどの現場でも精油を活用しようとする動きが出ています。